インターネット上での様々な事件が話題になっています。そんなこともあり、「インターネットが悪い」という人もいます。インターネットとは、通信網のことなので、その上で動いているサービスのことではありません。
「趣味はインターネットです」と言えば、世界に広がる通信網それ自体が趣味となります。海に潜って海底ケーブルを眺めるのが趣味なのか、通信の仕組みを知るのが趣味なのか、とにかくマニアックな人ということになります。
つまり、インターネットを否定するということは、商業活動のほぼすべてを否定することでもあり、身近になった重要なインフラがなくなってしまうと、現代社会はかなりの混乱が起きてしまうことも考えられます。
それにしても、インターネットとは何なのか。誰が管理しているのか。誰が発明したものなのか。知らないことだらけです。
実は、インターネットの起源も明らかではありません。インターネットという言葉は、インターネットの前身と考えられているARPAネットで進化する中で生まれたもので、どの段階からインターネットと呼べばいいのかもはっきりしていません。
ARPAネットは、当時ソ連との冷戦時代に、戦争が起きたとしても、停止することなく動き続ける通信網の必要性から生まれたものと言われています。軍の要請で研究が進み、インターネットが生まれたことになりますが、途中から軍事目的は別のネットワークへ枝分かれし、それと同時に商用利用へと変化していきます。
インターネットが進化する中でも、重要なことは直接話をしながら決めていったので、文字として残っていないそうです。インターネットのことなのに、電子メールではなく、やっぱり大事なことは直接話をしているというのも興味深いですが、記録が残っていないので、歴史を掘り起こすことができなくなっているというのは残念です。
多くの企業やプロバイダがインターネットに接続し、なくてはならなくなった今でも、インターネットの全責任を負う人物は存在しないそうです。インターネットに関わっている人で、広く知られている人もあまり聞きません。Windowsを作った人やiPhoneを作った人は、一般に知られているのに、インターネットに関わっている人を挙げられる人はまずいないでしょう。その重要なメンバーの中に日本人がいることも、13あるルートサーバーの一つが日本にある理由も。
また、研究段階から停止することなく動き続けるインターネットって、ある意味すごいことだと思います。もちろん、どこかのサーバーが停止してしまうことはありますが、インターネット自体は停止したことがありません。インターネットはパケットで伝達されれば、伝達経路はなんでも大丈夫です。電話回線でも光回線でも、海底ケーブルを経由しても、衛星を経由しても、遅くていいなら糸電話でも。
普通の電話回線ならそうはいきません。基地局があって、1対1の接続が成り立って伝達が可能になります。大地震が起きたときに、電話が不通になっても、インターネットはどうにでもなります。最悪、パラボラアンテナを持ち込めばいいのですから。
冷戦は終わりましたが、それをきっかけに開発された技術は、平和利用で活躍しています。一部の国を除き、政治とは分離して運用されています。世間が「インターネットが悪い」と声を上げてしまうと、政府による規制が入る可能性もあります。インターネットってあまりにもつかみどころのない存在ですが、インターネットとその上に存在するサービスとはしっかりと区別していかないといけないでしょう。
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