平成と2000年問題

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平成から年号が変わるという話題で、コンピュータはトラブルを起こさないのかと心配する中、2000年になるときも何もなかったから大丈夫じゃない? と言われていたりします。

まず、年号が変わることと2000年問題は、コンピュータのシステムの中では、別次元の話。

2000年問題は、当時今から考えると貧弱だったメモリや記録媒体の状況で、節約するために4桁の西暦のうち、下2桁で表現していたことから起きた問題です。コンピュータが生まれたときは、2000年というのは遠い未来のようで、近くなったらそのときにどうにかするでしょう、ということでコンピュータが使われ続けていました。

しかし、時は過ぎ、現実に2000年が近づいてきました。2000年問題は何もなかったのではなく、1990年代末には、2000年以降のホテルの予約ができないというトラブルなど、すでに2000年になる前にトラブルは起きていました。それらを目にして、システム管理者は血の滲むような苦労をして、システムを修正し、2000年の元旦を迎えたわけです。「何もトラブルなんて起きなかったよね」なんて言われたら、苦労した人たちは、悲しいですよね。命を奪うようなトラブルを未然に防ぐために、寝る時間を削って対応したのですから。

日付変更線をまたいで最初に2000年を迎えるのは日本。世界中のシステム管理者がその瞬間を見守りました。その当時、コンピュータあるいはインターネットが動いていたのは、日本とヨーロッパとアメリカくらいです。2000年を迎えるのは、日本の次にヨーロッパ、そしてアメリカとなるわけです。日本が2000年を迎えたときに、もしも何かが起きたら、ヨーロッパが2000年を迎えるまでの8時間の間にシステムの再点検や修正をおこなわなければなりませんでした。日本は、ある意味ヨーロッパやアメリカのための実験台だったのです。

苦労の末、大きなトラブルもなく2000年がスタートしましたが、メンテナンスがおこなわれなくなっていたプログラムは、おかしな日付表示をしていました。メンテナンスがおこなわれなくなるようなプログラムはMS-DOS上で動いていて、Windowsに移行した場合は、修正済みのものを使っていたので、多くの人は、何も起きなかったと記憶しているのかもしれません。99-12-31の次の日が00-01-01と表示されるべきなのに、9の次の文字コードが:(コロン)なので、「:0-01-01」と表示されていたものもありました。命に別状はないけど、それなりに2000年問題は目にしていました。

ちなみにNECのパソコンで年を越さないバグというのがありました。1997年12月31日の次が1997年1月1日になってしまうものです。2000年問題とは関係ありません。このバグを記憶している人は、毎年、年を越したあと、日付を確認したり、再起動したりする人もいるのではないでしょうか。2000年になる前に、一度電源を切り、年が明けてからまた起動するという対応をしたのを覚えています。連続して使用したときに暴走し、データが消えたら大変ですから。

さて、年号が変わるといえば、前回は、昭和から平成になったときです。パソコンが普及し始めたときです。なので、ほとんどの人は、そのときの年号とコンピュータの関連を知りません。コンピュータの中では、西暦で扱っていたので、そもそも昭和とか平成とかはあまり関係なかったと記憶しています。どちらにしても「今日から『平成』です」と発表されたわけですから、しばらくは昭和の文字を見ながら過ごしていました。壁のカレンダーも当然昭和64年でした。

昭和から平成の流れを見ているので、おそらく現在でもシステム内部では西暦で処理しているものがほぼ全てではないでしょうか。昭和が長かったので、明治から大正のように、平成もそんなに長くないと思った人も多いはず。今回は、半年の準備期間を用意すると報道されているので、まあ、表示上の問題もなんとかなりそうです。

ただし、サポートが終了しているOSは、平成の次の年号を表示しないでしょう。OSのバージョンアップ、ソフトのバージョンアップは必須です。それでも平成で表示されても気にしない人はいるもので、古いものをそのまま使う人はいると思います。「昭和→平成」のときも、そういう人はいました。2000年問題と違って、表示上の問題だけですから。

それ以外のプログラムで、古い開発環境を使っていた場合、西暦と和暦の変換の部分が独自に対応しないといけないかもしれません。プログラム上は、自分で変換するのではなく、命令を送れば自動的に変換するので、意識したことがありません。年号の変換がOSレベルなのか、プログラムにライブラリとして組み込まれているのか、もし開発環境によるのであれば、自分で変換のコードを書かないといけませんね。

あまり知られていないかもしれませんが、年号を1文字で表現する文字があります。「㍾・㍽・㍼・㍻」(うまく表示できているのかな?)というがあります。平成の次には、4つほど文字コードを空白にしているので、その部分に文字コードを修正する対応で大丈夫そうです。残り3つも埋まったときには、どうするかは、未来の人が考えるのでしょう。

平成から次の年号に変わったとき、一番問題なのは、システムではなく、データを入力する人間のほうが心配です。エクセルなどは、いろいろおせっかい機能がついているので、知らずにおかしな日付を入力しているのに気づかないとか...。

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